※2026年10月時点の情報です。クラブ数や会費などの数値は、スポーツ庁・日本スポーツ協会の公表資料にもとづいています。
こんにちは、神乃です。
「総合型地域スポーツクラブって、名前は聞いたことがあるけど何をしているところ?」「スポーツ教室やジムと何が違うの?」。そんな疑問をもつ方は多いと思います。
私は現在、総合型地域スポーツクラブで働いています。この記事では、公的な資料にもとづく基本情報に、働いている立場から感じていることを交えて、総合型地域スポーツクラブの特徴・会費の目安・近くのクラブの探し方までわかりやすく解説します。
総合型地域スポーツクラブとは
スポーツ庁によると、総合型地域スポーツクラブ(以下、総合型クラブ)は、人々が身近な地域でスポーツに親しむことのできる新しいタイプのスポーツクラブで、次の3つの特徴をもち、地域住民により自主的・主体的に運営されるスポーツクラブとされています(出典:スポーツ庁「総合型地域スポーツクラブ」)。
- 多世代:子どもから高齢者まで
- 多種目:さまざまなスポーツを愛好する人々が
- 多志向:初心者からトップレベルまで、それぞれの志向・レベルに合わせて参加できる
行政でも民間企業でもなく、地域の人たちが自分たちで運営し、会費などの自主財源で活動を支えているのが大きな特徴です。
全国に3,541クラブ
スポーツ庁の「令和7年度総合型地域スポーツクラブ育成状況調査」では、2025年7月1日時点で全国に3,541のクラブが育成されており、そのうち3,419クラブが創設済み、122クラブが創設準備中です。全国1,741市区町村のうち1,378市区町村でクラブが育成されています(出典:スポーツ庁「令和7年度総合型地域スポーツクラブ育成状況調査」)。
同じ調査の活動状況(回答1,555クラブ)を見ると、活動しているスポーツ種目数は「6〜10種目」が35.8%と最も多く、会員の内訳は「小学生」が31.6%、次いで「70歳以上」が17.9%となっています(出典:スポーツ庁「令和7年度 総合型地域スポーツクラブに関する実態調査結果 概要」)。子どもと高齢の方が多いのも、多世代型ならではですね。
「登録・認証制度」とは
2022年4月からは、日本スポーツ協会(JSPO)と都道府県のスポーツ協会などが連携して運用する「総合型地域スポーツクラブ登録・認証制度」が始まっています。複数種目の定期的な活動、複数世代の会員、指導者や安全管理体制、地域住民が主体の非営利運営、規約や事業計画・決算の議決といった基準を満たしたクラブが、都道府県の総合型クラブ連絡協議会の審査を経て「登録クラブ」として認定される仕組みです(出典:日本スポーツ協会「総合型地域スポーツクラブ登録・認証制度とは」)。
2026年度(登録有効期間:2026年4月1日〜2027年3月31日)の登録クラブは全国で1,098クラブです(出典:日本スポーツ協会「令和8年度登録クラブ数 都道府県別一覧」)。登録クラブのうち、さらに特定の分野で基準を満たしたクラブを認める「認証」もあり、部活動の地域展開タイプなどの運用が始まっています(出典:スポーツ庁「総合型地域スポーツクラブ登録・認証制度について(周知)」)。
なお、登録はクラブが任意で申請するものなので、登録していない=活動の質が低い、というわけではありません。クラブ選びの参考情報のひとつとして考えるとよいと思います。
スポーツ教室やジムとの違い
総合型クラブも「教室」という形で活動していることが多いので、民間のスポーツジムやスクール、行政などが開く単発の教室との違いがわかりにくいかもしれません。おおまかに整理すると次のようになります。
| 総合型地域スポーツクラブ | 民間のジム・スクール | 単発・短期の教室 | |
|---|---|---|---|
| 運営 | 地域住民が主体の非営利組織 | 民間企業 | 行政・施設など |
| 種目 | ひとつのクラブで複数種目 | 1種目または特定の分野が中心 | 講座ごとに1種目 |
| 参加者 | 子どもから高齢者まで多世代 | 目的・年代が近い人が中心 | 講座の対象者 |
| 費用 | 会費+参加費で比較的低め(クラブにより異なる) | 月会費制が多い | 無料〜参加費制 |
| 特徴 | 地域の仲間づくり・交流の場 | 設備や専門的な指導 | 気軽に試せるが期間限定 |
働いている立場から感じるのは、集まる人の幅の広さです。一般的な教室やジムには、同じ目的をもった方が集まっています。それに対して総合型クラブには、いろいろな目的、いろいろな年代の方が集まり、幅広いコミュニティができている。これこそが総合型クラブの良さだと私は感じています。
いちばんの違いは、「地域の人がつくる、地域の居場所」であることだと思います。トレーニングの効率だけを考えるならジムのほうが向いている場合もありますが、総合型クラブには、いろいろな種目を試せることや、世代を超えた交流が生まれることといった、ほかにはない良さがあります。
どんな人に向いているか
- 運動不足を解消したいけれど、何から始めればいいかわからない人
- ひとりで運動を続けるのが苦手で、一緒に取り組む仲間がほしい人
- いろいろなスポーツを試して、自分に合うものを探したい人
- できるだけ費用をおさえて運動したい人
- 親子や祖父母と孫など、家族で一緒に参加したい人
- 定年後などに、地域の中で新しいつながりをつくりたい人
私の職場では平日に開いている教室が多いこともあり、参加者は50代後半〜70代の方が中心です。参加のきっかけとしていちばん多いのは、やはり「運動不足を解消したい」という声です。30〜40代で運動不足が気になっている方は、大人になってからでも始められるスポーツ5選もあわせて参考にしてみてください。
参加までの流れと会費の目安
参加までの一般的な流れ
- 情報を集める:クラブのホームページやチラシ、市区町村の広報などで、種目・曜日・時間・会場を確認する
- 見学・体験に行く:多くのクラブで見学や体験参加を受け付けています。雰囲気が自分に合うかを確かめましょう
- 入会手続きをする:申込書を提出し、年会費などを納める。クラブによっては傷害保険への加入を求められることもあります
- 教室・活動に参加する:教室ごとに参加費が別にかかる場合もあります
会費の目安
スポーツ庁の調査では、会費を徴収しているクラブは90.1%で、その平均額は月額1,332.7円でした。ただし金額の幅は大きく、「1,001円以上」が34.1%ある一方、「0〜100円」が15.7%、「101〜200円」が12.8%となっています(出典:スポーツ庁「令和7年度 総合型地域スポーツクラブに関する実態調査結果 概要」)。
会費の仕組みも、年会費だけのクラブ、年会費+教室ごとの参加費のクラブ、月謝制のクラブなどさまざまです。実際の金額は必ず各クラブに確認してください。
近くのクラブの探し方
- 日本スポーツ協会の登録クラブ一覧:都道府県名をクリックすると、その都道府県の登録クラブを確認できます(SC全国ネットワーク 登録クラブ一覧)
- 都道府県の広域スポーツセンター・総合型クラブ連絡協議会:都道府県ごとに、域内のクラブ一覧やマップを公開しているところがあります
- 市区町村のスポーツ担当課・広報誌:登録していないクラブも含めて、地元のクラブを教えてもらえることがあります
- インターネット検索:「お住まいの市区町村名+総合型地域スポーツクラブ」で検索するのも手軽です
広域スポーツセンターは、都道府県ごとに置かれ、総合型クラブの創設や運営の支援、スポーツ情報の提供などを担う拠点です(出典:文部科学省「総合型地域スポーツクラブ育成マニュアル 広域スポーツセンターって何をするところなの?」)。
クラブを選ぶときのチェックポイント
近くにいくつかクラブが見つかったら、次のような点を比べてみると、自分に合うクラブを選びやすくなります。
- 種目と曜日・時間帯:やってみたい種目が、自分の通える曜日・時間帯にあるか
- 会場までの距離:無理なく通い続けられる場所か
- 費用の総額:年会費だけでなく、教室ごとの参加費や保険料も含めていくらになるか
- 対象とレベル:初心者向けか、年代やレベルの指定はあるか
- 見学・体験ができるか:入会前に雰囲気を確かめられるか
迷ったときは、ひとつのクラブで複数の種目を体験してみるのもおすすめです。多種目のクラブなら、最初に選んだ種目が合わなくても、別の種目に移りやすいのも良いところです。
先ほど紹介したように、登録クラブは全国約1,100クラブで、創設済みクラブ全体(3,419)の一部です。日本スポーツ協会の一覧に見当たらない場合でも、市区町村に問い合わせると近くのクラブが見つかることがあります。
よくある質問
Q. 運動が苦手でも大丈夫?
初めての方からいちばん多くいただくのが、この「運動が苦手ですけど大丈夫ですか?」という質問です。私はいつも「参加されている方のほとんどが運動初心者ですよ」とお答えしています。上手な人だけが集まる場所ではないので、安心して参加してみてください。
Q. 日頃まったく運動していなくても、ついていけますか?
これもよく聞かれる不安です。参加のきっかけが運動不足の解消という方が多く、同じ境遇の人と出会いやすい場所です。無理をせず、自分のペースで参加できる教室から始めるのがおすすめです。体調に不安がある方は、事前にクラブのスタッフや指導者に相談しておきましょう。
Q. 子どもや孫と一緒に参加できますか?
多世代が参加できるのが総合型クラブの特徴なので、親子や三世代で参加できる教室を用意しているクラブもあります。対象年齢は教室ごとに異なるので、事前に確認してください。
Q. 道具は自分でそろえる必要がありますか?
種目やクラブによって異なりますが、ボールやラケットなどをクラブで用意している教室もあります。まずは動きやすい服装と室内シューズで体験に参加し、続けられそうだと感じてから道具をそろえても遅くありません。
Q. 住んでいる市区町村以外のクラブにも入れますか?
クラブの規約によって異なります。地域外の方も受け入れているクラブもあれば、会費が変わる場合もあるので、気になるクラブに直接問い合わせてみましょう。
働いている立場から感じる魅力
総合型クラブで働いていて、いちばんやりがいを感じるのは、多世代の方が参加するなかで、クラブが地域のコミュニティとして欠かせない場所になってきていると感じるときです。
健康づくりのため、仲間づくりのため、子どもや孫と一緒に楽しむためなど、参加する理由は人それぞれです。目的も年代も違う人たちが同じ場所に集まることで、幅広いつながりが生まれています。
たとえば卓球教室などでは、祖父母とお孫さんくらい年齢の離れた参加者が、一緒に勝負したり、教えてもらったりしている場面があります。ふだんの生活ではなかなか接点のない世代どうしが、スポーツを通じて自然に交流できるのは、総合型クラブならではの光景だと思います(卓球はラージボール卓球のように、大きくて遅いボールで楽しむ方法もあります)。
また、大人が新しくスポーツを始めるときに大事なのは、一緒に始める仲間だと私は思います。一人で始めるには決断がいりますが、仲間がいるとスタートしやすく、続けることもできます。総合型クラブには同じ目的をもった多世代の人が集まり、初心者も多いので、同じ境遇の仲間と出会いやすいのも魅力です。ソフトバレーボールやピックルボールのように、初心者でも楽しみやすい種目を取り入れているクラブもあります。
参加前に知ってほしいこと
最後に、働いている立場からひとつお伝えしたいことがあります。総合型クラブは、参加者の皆さんの会費や、協賛などによって成り立っています。そのぶん民間のジムなどとは違い、会費も参加しやすい金額に設定されていることが多いです。
だからこそ参加される皆さんには、「サービスを受ける」だけでなく、自分たちの地域のコミュニティを一緒に育てているという思いも持って参加していただけたらうれしいです。一人ひとりの参加が、クラブを続けていく力になっています。
まとめ
- 総合型地域スポーツクラブは、多世代・多種目・多志向で、地域住民が自主的・主体的に運営するスポーツクラブ
- 全国に3,541クラブ(2025年7月1日時点)。2026年度の登録クラブは1,098クラブ
- 会費の平均は月額1,332.7円だが、クラブによって大きく異なる。会費や協賛で成り立つ、みんなで育てるクラブ
- 近くのクラブは、日本スポーツ協会の登録クラブ一覧、都道府県の広域スポーツセンター、市区町村の担当課などで探せる
- 参加者のほとんどは運動初心者。運動が苦手でも心配いらない
総合型地域スポーツクラブは、スポーツをする場所であると同時に、地域の人どうしがつながる場所でもあります。まずは見学や体験から、無理をしないで始められるところからスタートしてみてください。そこから新しい仲間や楽しみが広がっていくはずです。
