体育館の床の正しいメンテナンス方法3ステップ|水拭き・ワックスがNGな理由【2026年版】

正しくメンテナンスされている体育館の床
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※2026年10月に情報を更新しました。文部科学省が2025年5月にまとめた「体育館の床板の剥離による事故防止について」の内容を反映しています。

こんにちは、神乃です。

今回は体育館の床についてお話しさせていただきます。体育館の床がどのようにして綺麗に、そして安全に保たれているのか。私が管理している施設での実践と、文部科学省の最新の手引きをもとに、毎日の清掃・定期メンテナンス・削り替え&再塗装の3ステップでご紹介します。

体育館を管理されている方はもちろん、学校の先生や利用者の方にも知っておいてほしい内容です。ぜひ最後までお付き合いください。

目次

なぜ体育館の床のメンテナンスが大切なのか

体育館の木製床は、管理を誤ると床板が剥がれて「ササクレ」となり、利用者が大けがをする事故につながります。文部科学省によると、2006年から2015年にかけて床板の剥離による負傷事故が7件発生し、2017年5月には消費者庁の報告書を受けて国から学校などへ通知が出されました。それでも2024年12月から2025年2月にかけて、新たな事故が発生しています(出典:文部科学省)。

しかも、水拭きやワックス掛けをしていなかった学校、築10年ほどの比較的新しい体育館、目視点検をしていた学校でも事故が起きていたそうです。だからこそ、日々の正しいメンテナンスと点検の積み重ねが大切なのです。

ステップ① 毎日の清掃と点検

まずは日々やるべき項目をご説明いたします。毎日のルーティンにすることで床は綺麗に保たれ、事故の未然防止にも繋がるので必ずやりましょう。

モップ掛けのタイミング

床の清掃でモップ掛けは基本というより当たり前ですよね。その基本のモップ掛けにも、掛けるべきタイミングと正しい掛け方があるのをご存知でしょうか?

①競技の使用後

このタイミングでのモップ掛けは、使用者にお願いしている施設が多いのではないでしょうか。使用後は汗や小さなゴミなどが落ちています。このタイミングで綺麗に拭き取ってあげてください。

②使用前(開館前)

使用前?と思われる方もいるかもしれません。使用後、軽い埃などは宙を舞っています。その埃は夜中にゆっくりと舞い落ち、床に溜まっていきます。なので朝一番、できれば誰も使用者のいない間に、その埃を拭き取ってあげましょう。

モップの正しい掛け方

体育館のモップ掛けの順路(SからGへ)

板の目に沿ってⓈから順に往復していきます。その際、拭き取った埃は端に着くたびに叩き落としておきます。最後に端をぐるっと一周Ⓖに向けて、叩き落とした埃をかき集めていくと綺麗に仕上がります。

毎日の床のチェック

床の異変にいち早く気付くためには、日々のチェックがとても重要です。チェック項目は、下記の3グループ・15項目です。

床面塗装のチェック

  • 床面は滑り過ぎていないか
  • 床面のグリップは効き過ぎていないか
  • 塗装面の光沢が減少していないか
  • 塗装面は摩耗していないか
  • コートラインは剥がれていないか

フローリングのチェック

  • 傷・割れ・ササクレはないか
  • 反り・浮きなどはないか
  • 木栓(ダボ)の浮き・抜けはないか
  • 床鳴りする場所はないか
  • 緩み・たわみはないか
  • ラバーマーク等の汚れはないか
  • ボールが適正に弾むか

金具類のチェック

  • 緩み・ズレはないか
  • 器具のグラつき等はないか
  • 錆びついていないか
体育館床のチェック表

私の勤めている施設でも、上の表を使用してチェックをしています。施設の内容や配置によって中身が変わる箇所もあると思いますが、参考にご利用ください。

文部科学省の手引きでは、点検のコツとして床に近い距離でゆっくり確認することや、目視に加えてストッキングや柔らかい布で床板の長手方向(板目の長い方)に沿って拭き、引っかかりを確かめる「触診」が紹介されています。点検結果は記録し、写真とあわせて保管しておきましょう(出典:文部科学省 手引き(PDF))。日本スポーツ施設協会 屋内施設フロアー部会の「体育館床の点検表」(2024年3月)も参考になります(案内:日本スポーツ施設協会 公式サイト)。

ササクレを見つけたら

ササクレや割れを見つけたら、その場所を使用禁止にするか、粘着力の弱いラインテープ等で応急的に保護し、専門業者に相談しましょう。ガムテープなど粘着力の強いテープは、はがす時に床板を傷めることがあるので使わないでください。ラインテープも、はがす時はゆっくりと。重い器具やピアノなどを移動する時は、適切な養生も必要です。

やってはいけないこと(禁止事項)

NOのサインを出す人形

スポーツフロア・体育館の床は大半が木製床です。そして体育館などの木製床には、専用のポリウレタン樹脂塗料が使われています。一般の方が想像されているワックスは使用されていません。

この専用のポリウレタン樹脂塗料は、スポーツ競技に適したグリップと耐摩耗性などに優れた性能を持っています。そのため、メンテナンスにも普通のフローリングとは違う禁止事項があります。

①水拭き・ワックス掛けの禁止

よく使用者の方から「ワックスが綺麗にかかっているね」なんて言われることもありますが、最近の体育館は実はワックスを使っておりません!むしろワックス掛けを禁止しています。

日常清掃及び特別清掃により,体育館の木製床を清潔に保つ。その際,水分の影響を最小限にする。水拭き及びワックス掛けはフローリング等の不具合発生の観点からは,行うべきではない

文部科学省・スポーツ庁「体育館の床板の剥離による負傷事故の防止について(通知)」2017年

木製床は水分を吸うと膨張し、乾くと収縮します。過度な水分を与えると膨張と収縮を繰り返し、床板の反りや割れ、ササクレの原因となってしまうのです。

またワックスは水分が多いだけでなく、ポリウレタン樹脂塗料と比べて耐摩耗性が低いため、定期的に掛け直さないと滑りやすくなります。さらに、ワックスを塗った床にはポリウレタン樹脂塗料の重ね塗りができない場合があります(出典:文部科学省 手引き)。ワックスの剥離作業でも、水分を含んだ剥離剤を床面にしばらく置いておく必要があり、水分が浸透してしまいます。

②化学モップ・兼用モップの使用禁止

化学モップ(糸にホコリを吸い付ける吸着剤を塗布したモップ)は、含まれている油性の吸着剤がスポーツフロアの塗装面に付くことで、滑りやすくなる原因となってしまいます。

他の場所で使っているモップも、別の部屋からワックス成分や油分を持ち込んでしまう可能性があります。体育館には体育館専用モップを使いましょう。体育館用には幅広モップがおすすめですよ!

ステップ② 定期的なメンテナンス

スポーツフロアの鋼製床下地

ここでは定期的なメンテナンスについてご説明させていただきます。頻度は施設によって変わってきますが、私の施設では年3回の定期メンテナンスを実施しています。

文部科学省の手引きでも、日常清掃で取りきれない汚れを除去するための特別清掃を数か月に一度行うことが示されています(出典:文部科学省 手引き(PDF))。

メンテナンス剤による清掃

日々の清掃だけでは見落としてしまっている汚れや、ラバーマーク等を細かく取り除きます。床面はどうしても滑りやすくなってしまうため、砂やほこりの除去をしながらグリップ力を回復させます。ちなみに私の施設では、水分やワックス成分を含まない「NONSLIPメンテナンスクリーナー」と「GRIPメンテナンスクリーナー」を状況に応じて使い分けています(詳しくはスポーツ施設管理の仕事紹介の記事で紹介しています)。

ポリウレタン樹脂塗料の重ね塗り

手引きでは、床板の状況に応じて2~3年でポリウレタン樹脂塗料の重ね塗りを行うことが重要とされています。塗膜が薄くなる前に守ってあげるイメージですね。

床下点検

スポーツフロアの床下は、鋼製の部材を使って下地が作られています(鋼製床下地)。ここは床を支えている大事な箇所なので点検は必須です!

床下に水が溜まっていないか、カビ臭くないか、床鳴りはしていないか、重量のある物を運ぶ際に沈み込んでいないか。スタッフができる範囲での点検は必ずしています。ただし床下の点検には専門知識が必要なため、私の施設では専門の業者にお任せしています。

なお、床の管理を外部に委託する場合、文部科学省の手引きでは、受託者に公認スポーツ施設管理士(日本スポーツ施設協会の講習・試験による資格)の保有を求めることも示されています。

ステップ③ 削り替え&再塗装

当面の間休館のお知らせ

日々の清掃・定期的なメンテナンスを繰り返していても、長年使用していると、どこかのタイミングで大規模な改修が必要になります。

それが削り替え&再塗装工事です。フローリングの表面を研磨して、木の劣化部分・細かな傷・古い塗膜を取り除き白木の状態にしてから再塗装することで、床が新品同様に蘇ります。

文部科学省の手引きでは、塗膜の耐用年数が10年程度であることを踏まえ、2~3年で重ね塗り、10年で全面サンダー掛け後の再塗装、20年で床下地を含む床全面の取替えといった中長期的な改修計画を立てる必要があるとしています(出典:文部科学省 手引き(PDF))。

目安内容
毎日モップ掛け・目視と触診による点検
数か月に一度特別清掃(メンテナンス剤など)
2~3年ポリウレタン樹脂塗料の重ね塗り
10年全面サンダー掛け後の再塗装
20年床下地を含む床全面の取替え
出典:文部科学省「体育館の床板の剥離による事故防止について」(令和7年5月)をもとに作成

私の施設でも以前、約20年ぶりに削り替え工事を行いましたが、張り替えたかのような綺麗さにビックリしました。この工事は床を削るため何度もできるものではありませんし、工事期間中は休館が必要になるなど、費用も時間もかかります。だからこそ、ステップ①・②を大切に行っていくことが大事なのです。

まとめ

  • 毎日のモップ掛けは「使用後」と「開館前」に、板目に沿って
  • 日々の点検は目視だけでなく、布やストッキングでの触診も
  • ササクレを見つけたら使用禁止にして専門業者へ(ガムテープはNG)
  • 水拭き・ワックス掛け・化学モップは禁止
  • 数か月に一度の特別清掃、2~3年で重ね塗り
  • 10年で再塗装、20年で全面取替えを目安に改修計画を

今あるものを綺麗に、長く、安全に使っていく。とても大事なことだと思います。体育館を利用する際には、ぜひ少しだけ床のことを気にして使ってあげてください。


参考

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